「第3回埼玉DX大賞」受賞事例

「第3回埼玉DX大賞」受賞各社の取り組みを紹介いたします。


≪やってくる大離農時代に向け、経験や勘ではない誰でもできる農業に≫
日本の未来農業とDX

  • 水稲110ヘクタール、玄米生産量600トン、生産売上2億円(グループ計3.5億円)
  • 平均で13%の収量アップ(=売上アップ)
  • 完全週休2日制(土日祝休み)、残業ゼロ(8:00~17:00勤務)

「誰でもできる農業」を目指し、人工衛星とデータを駆使して高収益・ホワイトな農業経営を実現。
高齢化と後継者不足が進む農業界において、長年の「経験と勘」に頼る手法から、人工衛星画像やAIを活用したデータ農業へ転換。
340枚ある圃場ごとの地力や生育ムラを「偏差値」として可視化し、可変施肥田植機やドローンによるピンポイント防除で無駄を徹底排除。農業を再現性の高い産業へと変革し、他産業並みの労働条件と円滑な事業承継を可能にした。

  • 人工衛星データを活用し、全圃場の生育状況や地力を「偏差値」で評価・管理する仕組みを構築
  • データに基づく自動化(可変施肥・自動操舵)により、未経験者でも高品質な生産が可能な体制を実現

企業情報

【企業名】株式会社ヤマザキライス (杉戸町)

【業種・従業員数】農業(米の生産・販売、農業コンサルティング、農作業受託など)


「みんなが幸せになる会社」実現に向け
全従業員で取り組んだ
健康管理・業務効率化・ペーパーレス化

  • 売上高が約9億円(2019年)から15億円(2024年)へと大幅に増加
  • 約3年間、正社員の離職率0%を継続し、従業員の94%がシステム導入を「良かった」と回答
  • 受注担当者の省人化(5名→3名)や、請求書のペーパーレス化(印刷割合98%→41%)を達成

「みんなが幸せになる会社」という社長の理念のもと、全従業員が一丸となって労働環境の改善と業務効率化に着手。
デジタル運行記録計やIoT温度管理システムを導入し、24時間365日の徹底した品質管理と配送の安全性を同時に確保した。
さらに、ウェアラブル端末を活用して倉庫作業員の体調を事務所でリアルタイムに見守るなど、ITを駆使した独自の健康・安全管理体制を構築 。
販売管理システムのクラウド化やECサイト導入により、顧客の利便性向上と社内の受注事務の劇的な負担軽減を両立させ、卸売業における人手不足を克服する成長モデルを確立した 。

  • IoT温度管理とウェアラブル端末を駆使し、商品の「安全」と従業員の「健康」をリアルタイムで見守る先進的な管理体制
  • 基幹システムの刷新とECサイト展開により、売上の拡大と事務作業の大幅な効率化・省人化を同時に実現

企業情報

【企業名】株式会社福島食品 (毛呂山町)

【業種・従業員数】卸売業(業務用総合食品の販売・配送) 


光学レンズ製造から多角化へ
- DXが描く成長戦略 -

  • 全社的なデジタル化により、年間1,000時間の労働時間を削減
  • AI自動検査装置の導入により検査工程の属人化を解消し、1日あたり4時間の作業を削減
  • デジタル化で創出したリソースを活かした事業承継(M&A)に成功し、グループ企業の売上を倍増
  • ガラス加工技術を活かしたBtoC製品を開発し、クラウドファンディングで新たな市場を開拓

世界屈指の大型・難形状レンズ製造技術を持つ一方で、アナログ主体の工程や職人の高齢化、不安定な受注に伴う経営の安定化が課題となっていた。
これを打開するため、社長直轄の体制で製造機器(バレル)の稼働状況の「見える化」や、3年以上の経験を要する検査工程のAI化、QRコードによる進捗管理、OCR機による伝票入力の自動化を断行。
外部の公的機関や大学など10の専門機関と積極的に連携することで、市販品の数分の一という圧倒的な低コストでの内製化を実現した。
DXで生み出した時間や知見を、他業種の事業承継やインテリア製品といった新事業へ戦略的に再配分し、レンズ製造の枠を超えた多角的なグループ経営と安定した事業基盤を確立している。

  • AI自動検査装置や稼働監視システムを自社開発し、属人化の解消と同時に「市場価格2,200万円相当のシステムを約750万円で導入」という驚異的なコストパフォーマンスを実現
  • DXによる効率化を単なるコスト削減で終わらせず、浮いたリソースをM&AやBtoC事業などの「攻めの経営」へ投資し、組織全体の活性化と成長の好循環を創出

企業情報

【企業名】有限会社比企オプティクス(秩父市)

【業種】 製造業(光学レンズ・プリズムの製造・加工、装置開発など) 


AIと共に働く職場づくり
~建築業界が抱える2025年問題の解決~

  • 各種自動化システムの活用により、年間2,000時間以上の業務時間を削減
  • 前年比で残業時間を40%削減し、5~7%のベースアップ原資を確保
  • 顧客アンケート評価が4.0から4.6へ向上し、満足度が15%アップ
  • AIによる工程計算の正確性向上により、手直し案件数が123件から39件へ劇的に減少

DXが遅れがちな建築・不動産業界において、「AIと共に働く職場づくり」を掲げ、全従業員のITリテラシー向上を推進。
代表自らがエンジニア養成機関「42tokyo」で学び、毎月全社員向けにAI活用勉強会を実施している。
単なるツールの導入に留まらず、事務・営業・職人まで全社員が自ら業務課題を特定し、オリジナルAIを内製開発する文化を醸成。
開発したシステムを競い合う社内コンテストを通じて、現場に即した実用的なDXを加速させた。
AIが煩雑な手作業を代替することで、社員が顧客との創造的なコミュニケーションに集中できる環境を構築している。

  • 代表による強力な教育体制と社内コンテストを通じ、外部ベンダーに依存しない「全社員参加型」のAI内製開発体制を確立
  • 「タイル割付AI」や「施工工程算出AI」など、現場の熟練技能や複雑な計算を自動化する実効性の高いシステムを自社制作

企業情報

【企業名】株式会社ライフタイムサポート(越谷市)

【業種・従業員数】建設・不動産業(インテリアオプション、リフォーム、ハウスクリーニング等)


中小製造業の中小製造業による中小製造業のためのデジタル・トランスフォーメーション

  • 事務員を3名から1.5名へ削減し、残業ゼロでの運用体制を確立
  • 異常値への即時対応が可能になり、不具合件数を約20%削減
  • 年間約1万枚の帳票をデジタル化し、完全ペーパーレスを達成
  • 自社開発アプリの外部提供により、昨年度は200万円の新たな売上を創出

「中小製造業による中小製造業のためのDX」を掲げ、職人の勘に頼る属人化した技術の標準化に着手 。
代表自らがノーコードツール「AppSheet」を習得し、現場の全帳票を一元的にアプリ化した。
導入初期にはあえて最高齢のスタッフからアプリ化を開始し、「楽になった」という成果を可視化することで、ベテラン層の抵抗感を払拭することに成功。さらに蓄積したデータを「Looker Studio」で自動可視化し、薬品メーカーや大口顧客とリアルタイムで品質・進捗情報を共有。
直接的にお金を生み出さない付帯作業を徹底排除し、製造現場が本来の生産業務に集中できる「価値創造の仕組み」を構築した 。

  • 代表主導のノーコード開発により、現場の用語や視点に即した使いやすいUIと高速な改善サイクルを実現
  • 自社で培ったデジタル化手法を同業他社や取引先へ提供し、製造業からサービス業への事業モデル転換を推進

企業情報

【企業名】株式会社大倉(吉川市)

【業種・従業員数】製造業(めっき加工、デジタル化支援事業など) 


~紙文化からの脱却~ 
全社業務システム内製開発と営業デジタル化による大型案件の受注増加

  • 大型案件の受注件数が15件から21件へ40%増加
  • 年間残業時間を1人あたり178.8時間(74%)削減し、有給取得日数も53%向上
  • 業務効率化により創出されたリソースを活用し、新事業「倉庫工房」の立ち上げを達成

「紙文化からの脱却」と「業務の属人化解消」を掲げ、全社的なデジタルトランスフォーメーションを推進 。
社長直轄の「DX化推進委員会」を設置し、強力なトップダウン体制のもと「デジタルを使わないと仕事ができない環境」を構築した 。ノーコードツール「kintone」を活用した基幹システムの内製開発に挑戦し、各種クラウドサービスを組み合わせて個人ノウハウを組織知化 。委員会メンバーによる丁寧な説明会を重ねることで、ベテラン社員を含む全社でのシステム利用を定着させた 。効率化で生まれた余力を高付加価値業務に充て、大型案件の商談数増加と新事業による持続的な成長を実現している 。

  • 社長直轄プロジェクトによる強力な推進体制と、内製開発丁寧な伴走支援による全社的なデジタル活用の定着
  • 徹底した業務効率化で創出した余力を活用し、大型案件の受注拡大や新ブランド「倉庫工房」展開による事業変革を具現化

企業情報

【企業名】株式会社渋沢(本庄市)

【業種・従業員数】建設不動産資産運用(快適環境創造企業)


3次元配筋検査システムでデジタル革命!

  • 配筋検査における現場業務および内業の合計作業時間を約80%削減(150分から30分へ)
  • 従来2~3名必要だった社員による配筋検査の計測作業を、若手社員1名のみで実施可能に改善
  • クラウドを活用した遠隔臨場の実現により、発注者・受注者双方の移動負担を解消
  • 土木部門において入社3年目未満の離職者ゼロを4年連続で継続中

鉄筋工事の品質保証において不可欠ながら、計測・写真撮影・帳票作成に膨大な労力を要していた「配筋検査」の抜本的な効率化に着手。
LiDAR搭載のiPadと3D配筋検査システム「Modely」を導入し、現場をスキャンするだけで点群データから3Dモデルを自動生成し、配筋ピッチやかぶりの合否判定を自動で行う仕組みを構築した 。あわせて本社で作成したCIMモデル(3D設計図)を現場で活用することで、経験の浅い若手社員でも構造物の干渉や完成イメージを容易に把握できる環境を整備。
単なる省力化に留まらず、取得したデータを将来の維持管理に資するデジタルツインとして蓄積するなど、建設業界の「持続可能な進化」と「若手技術者のマインドセット醸成」を同時に体現している。

  • iPadによる短時間のスキャンから帳票出力までを連動させ、従来の煩雑な計測作業と写真整理を一掃するオートメーション化を達成
  • ・DXを「安全・先進・持続可能」なブランド戦略のひとつとして位置付け、SNS発信やICT内製化を通じて若手が活躍できる企業文化を確立

企業情報

【企業名】古郡建設株式会社(深谷市)

【業種・従業員数】建設業(総合建設、土木・建築・河川工事、ICT技術の内製化等)


建設現場におけるデジタル化の取組による生産性改善について

  • 1人あたりの年間時間外労働を110時間(34%)削減し、振替休暇取得率と給与アップを両立
  • 3D測量および書類作成時間を50%削減
  • 測量人数を4人から2人へ削減し、交通規制時間の短縮と現場の安全性向上を達成

「持続可能な建設業への進化」に向け、現場のデジタル化とバックオフィスへの業務移管を強力に推進。
深刻な人材不足と残業規制への対応として、現場から事務業務を切り出し、書類作成を専門に担う「建設ディレクター」を配置した。
並行して、3Dレーザースキャナーを用いた高精度な測量や、BIM/CIMによる3次元モデル作成を内製化。
さらにRPAや建設業特化型生成AIなどのデジタルスキルを駆使して事務作業を劇的に効率化し、
現場担当者が本来の施工管理に専念できる「働き方改革」と「生産性向上」の同時実現に成功した。

  • 「建設ディレクター」とRPA・AIスキルの融合により、現場負担の軽減とバックオフィスでの事務効率化を両立
  • 3D測量からモデル作成までの一貫した内製化体制により、高品質な施工前シミュレーションと住民への分かりやすい合意形成を実現

企業情報

【企業名】伊田テクノス株式会社(東松山市)

【業種・従業員数】建設業(総合建設、土木・橋梁・道路・建築工事、河川復旧など)