野口精機 株式会社の取組事例
業種
取り組みテーマ
活用した支援
| 野口精機株式会社は1951年の創業以来、ディーゼルエンジンの燃料噴射装置を中心とした輸送用機械器具、油圧系機器等の精密部品加工を手掛けている東松山市の企業。製品の品質確認のため、製造現場内では現場作業員による測定が行われており、その測定値を読み取って紙の検査表に手書きで記録していたが、この際に記入ミスや手書き文字の誤読を誘発していた。加えて測定値の確認のみで記録を行っていない検査項目もあった。また測定データのトレーサビリティが確保できていないことにより、品質問題等発生時の対応に多くの時間を要することがあった。 こういった課題を解決するため、IoT技術を活用し、効率的に測定値をデジタルデータとして品質管理データベースへ取り込む仕組みを構築し、トレーサビリティを強化すべく走り出した。 |
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| 本格的なシステムの導入前にまず始めたことは、プロトタイプシステムによる効率的な検査データ入力方法の検討と評価であった。測定値を簡単な操作で入力・蓄積するデータ収集システムを、デジタル測定機器（ダイヤルゲージ、マイクロメーター、デジタルノギス）とタブレット端末を用いて構築し、一部の検査場に試験的に導入した。この測定システムを構築するにあたり、検査場内でのデジタル測定機器および検査記録画面の操作性、そして遅延なく業務が行える処理スピードを重要ポイントとした。このデータ収集システムによって、検査項目ごとの測定データを正確かつ迅速に収集できるようになった。 次いで、この収集した測定データを活用するために、品質管理データベースの構築を行った。データベース開発を進めるにあたっては、これまで当社で使用実績のあるMicrosoft Excelをフロントエンドに利用でき、かつコストパフォーマンスの高いあすなろ社の「＠驚き」というデータベースエンジン（ｍｙＳＱＬ）をベースとした。なお、自社でカスタムメイドのIoTシステムを構築するというのは今回初めての試みであった。プロジェクトを進めるにあたって、設計からテストまでに現場の意見を収集し、実際の製造現場で使えるシステムとなることを常に意識した。 この品質管理データベースを活用することにより、以下の仕組みを実現した。 ・検査記録帳表の自動生成 ・管理図（Xbar-R／QualityControlChart）の自動生成 ・管理図異常発生時の自動メール通知 ・アドホックデータ検索機能を利用した、様々な切り口でのデータ分析 ・検査基準マスタ類の保守機能 |
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| 現場作業員による検査データの記録と活用は日常的に行われており、トレーサビリティ要求への心構えと体制を整えることができたと考える。また、手書きでのデータ入力がなくなったことで業務効率化と測定データの信頼性が向上した。 今回のプロジェクトには若手メンバーを積極的に参加させたことで、プロジェクト管理の手法、IT開発の進め方や現場とのコミュニケーションの仕方、チェンジマネジメントの重要性を実際に経験してもらう良い機会となった。引き続き、課題解決に向けた取り組みを通じて、将来のリーダーへと育っていってくれることを期待している。 今後は検査データの入力対象となる工程品目を拡大し、製造工程のモニタリングを進めることによって不良品率を対前年度比１０％改善することを目指していく。また、3次元測定器などの大型測定機器からのデータ収集も行い、測定プロセスの効率化を進めていくとともに製品トレーサビリティ体制をより強化していく予定だ。 |
