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株式会社モード工芸の取組事例

マネキンの開発・生産・管理工程をデジタル化 原型の製造期間を半減し、顧客への3D売場提案も可能に

株式会社モード工芸

業種

  • 製造業

取り組みテーマ

  • デジタル化
  • AI
  • IT活用

活用した支援

  • 公的機関支援
  • その他補助金活用
事業内容

マネキン人形・ディスプレイ関連の企画・開発・制作

Before/取組み前の課題

・マネキンのポーズ確認に現地・現物打合せが必要
・マネキンの原型制作に3か月以上かかる
・数百体の「マネキン原型」が倉庫を圧迫

After/取組みによる効果

・VRで3Dモデルを作り、顧客とオンラインで打合せ可能に
・3Dモデル作成ソフトと3Dプリンターで原型製造期間を大幅短縮
・過去に制作した原型をデータ保管、応用可能に

● マネキンの開発・製造・管理に多くのコストがかかっていた

株式会社モード工芸は富士見市でマネキンやディスプレイ器具を開発製造する、従業員数40名の企業である。顧客は商業施設をはじめ、テーマパーク、文化施設、 アミューズメント施設など多岐にわたる。同社はコロナ禍の直前である2019年にVR(仮想現実)を使ったマネキンの3Dデータ共有サービスの開発をきっかけに、マネキンの開発・生産・管理に関わるDX化に取り組んできた。
社内でDX推進を担当する常務取締役の大里祥生氏に、導入の経緯について伺った。同社はマネキン製造において、国内最大規模の製造工場を有しており、美術大学などを卒業した熟練技術者を抱えているため、繊細なデザインのマネキンを一貫体制で製造できる点が強みである。マネキンには一般的な体形・ポーズの標準品と、スポーツなどの特殊なポーズや、アニメなどのキャラクター立体像、さらに有名人の等身大モデルといった特注品があり、近年は特注品のオーダーが増えている。
特注品は従来、技術者が粘土で等身大の原型を作っていたため、原型制作に約3か月と長い期間が必要であった。大型の原型は持ち運びが難しく、細かなポーズを確認するためには、顧客に製造現場まで足を運んでもらう必要があった。さらに、過去に製造した数百体の原型は保管場所をとる上、必要になっても簡単に原型を取り出せないという問題があった。
標準品も、紙のカタログでは立体のイメージや売り場配置した際のイメージが付きにくいため、営業担当者が実物サンプルを顧客先まで持ち込んで確認する、という作業が必要となっていた。

● VR商談ツールでコロナ禍を乗り越える

2019年、同社は3Dスキャナーを使ってマネキンの3Dモデルを作成し、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)技術を利用した顧客との新しいコミュニケーションの場を開発した。開発にあたっては、埼玉県産業振興公社の「平成30年度埼玉県ものづくりIoT強化支援事業補助金」を活用した。
まず、バーチャル空間に仮想のショールームを設置し、3Dスキャナーで再現したマネキンの3D画像を展示した。顧客は360度好きな方向から、マネキンのポーズや体形を拡大・確認して選ぶことができる。
次に、顧客の要望に応じてマネキンの細かいカスタマイズができるよう、3D画像をオンラインで顧客と共有しながら打合せできるシステムを開発した。さらに、売り場に実際に設置した様子をARでシミュレーションできるようにした。
これらのシステムは図らずも1年後、新型コロナ禍において活躍することとなった。人と人とのリアルな打合せ環境が制限されていた中、同社ではこれらのシステムを利用することによりオンライン上で顧客とコミュニケーションをとることができた。

● 3Dモデリングソフト導入により、原型の制作期間が半分に

3Dデジタルツールの活用に慣れ始めた同社は、開発・製造工程にも積極的にDXを導入した。これまで熟練の技術者が3か月ほどかけて作っていたマネキン原型の製作を、3Dモデリングツールとペンタブレットを使い、PCで3Dデータを作る形式に変更した。
さらに、3Dデータを大型の3Dプリンターでパーツごとに等身大出力し、型取りすることで原型の制作期間が約半分に短縮された。この際、粘土を使って原型を作るのと同じ感覚で3Dモデルを作れるよう、デジタル彫刻に特化した3Dモデリングソフトを選んだ。加えて、これまでの数百体にのぼる原型を3Dスキャナーでデジタルデータを取り、アーカイブ化することで原型の実物保管が不要となり、過去の原型データを容易に活用できるようになった。原型の製造技術習得には最低でも十数年かかるため、技術承継にも役立っている。

同社はその後も、マネキンに顔認識システムと通行人数カウントシステムを組み込んだデジタルマーケティングツール「マーケティング用AIマネキン」を共同開発したり、造形技術を活かしたヒト型ロボット開発を支援するため「埼玉ロボティクスネットワーク」に加盟するなど、従来のマネキンの常識を打ち破る挑戦を続けている。

 

株式会社モード工芸

所在地
〒354-0013 埼玉県富士見市水谷東3-1-1
URL
https://www.mode-kohgei.com/
電話
048-471-3511