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有限会社大宗製作所の取組事例

ノーコードと現場デジタル化で「小ロット・多品種」を支える町工場DX

有限会社大宗製作所

業種

  • 製造業

取り組みテーマ

  • デジタル化
  • クラウド活用
  • IoT活用

活用した支援

  • 公的機関支援
  • その他補助金活用
事業内容

金属・樹脂の切削加工

Before/取組み前の課題

・小ロット&試作中心の受注生産で、在庫点数が多く管理が煩雑
・紙+手入力による検査記録で転記ミスが発生
・図面、見積、在庫情報が分散

After/取組みによる効果

・RFIDを用いた在庫管理で、点数管理と探索時間を大幅削減
・電子ノギスとExcel連携により、検査記録の省力化およびミス削減を実現
・図面、見積、検査データのデジタル蓄積が進み、現場の再現性が向上

● 小ロット試作を支える町工場の強みと課題

大宗製作所は朝霞市に拠点を置く金属・樹脂加工の製造業である。昭和38年創業、従業員数は5名。NC旋盤やマシニングセンター等を用いて医療機器や食品機械向け部品、光学機器用部品、バイク用チェーン部品など、多様な分野の加工を手掛けている。同社の強みは「金型を作らない削り出し」「2~3個といった極小ロットや試作対応」「ステンレス、アルミ、難削材、樹脂等多様な素材の加工対応力」である。
一方で、小口注文に対応するため小型の製品約2,000点を在庫として保有していた。1つのケースに複数の小さな製品を保管するため、在庫探索や現物とPCデータの個数ズレが大きな課題となっていた。さらに、取引先からの発注書はFAXによる紙の図面データであり、見積作成や検品結果データの作成がアナログ作業となり、ミスや非効率の原因となっていた。

● ノーコードツールから始める“等身大DX”

同社では1990年代からノーコードツールFileMakerを活用し、見積作成や基本的な在庫管理を行ってきた。さらに、埼玉県産業振興公社のIoT関連補助金や専門家派遣を活用し、在庫管理システムを構築した。手書きで管理していた注文書をQRコードで読み取るシステムの自動登録に変更、RFIDと呼ばれる電子タグに品名・品番・保管場所を紐づけ、電子はかりで数量をカウントすることで、現場で在庫を「探す時間」「カウントミス」を減らす仕組みを構築した。この結果、リアルタイムでの在庫把握が可能になり、入出庫に関わる作業時間を80%削減することができた。

 重要なのは、フルスクラッチ開発ではなく、ノーコードツールを活用し、自社で理解・運用できる形を選択した点である。大畑社長は埼玉県産業振興公社や埼玉大学、埼玉県産業技術総合センターなどのデジタル系研修に自ら参加し、低コストで等身大のDXを進めていった結果、パート社員を含む現場にも問題なく受け入れられていった。

 

 

● DXは事業承継と次世代への投資

DXの取り組みは在庫管理にとどまらない。ある得意先は、図面寸法に実寸法を併記するよう求めてきた。ノギスやマイクロメーターで測定した数値を図面に手書きし、許容誤差内であることを示すのだが、文書管理や計測ミス・転記ミスなどの問題が生じていた。

そこでBluetooth対応の電子ノギスを導入し、Excel検査表へ直接データ転送する仕組みを構築した。ペーパーレス・省スペースで、どこでも簡単に検査できる環境を実現した。

FAXで届く図面についても、ドキュメントスキャナーでJPEG化し、Excel検査表や見積資料に取り込むなど、既存業務を大きく変えずにデジタル化を積み重ねている。これらのDXにより、加工から出荷までの作業時間は約20%削減した。

「しかるべきメーカーに依頼すれば、ノギスなんか使わないで各部を採寸・データ転記してくれる仕組みを作ってくれるだろう。でもそのためのソフトに何百万、ハードにも何百万だ。とてもじゃないがペイしない。だからみんなDXに挫折するんだ。」と大畑社長はいう。

同社は将来的な事業承継も視野に入れ、DXは「効率化」だけでなく「会社の引き継ぎやすさ」を高める手段と位置付けている。30年以上蓄積されたデータは、見積・加工条件・検査ノウハウの共有資産となり、属人化の解消に寄与している。

小ロット・難加工材・高精度要求という厳しい環境下において、AIや画像認識、IoTといった先端技術にも関心を払いながら、まずは現場で“確実に使えるDX”を積み上げる同社の堅実な姿勢は、これからDXを進めようとする多くの企業の模範となるに違いない。

 

 

有限会社大宗製作所

所在地
〒351-0001 埼玉県朝霞市上内間木638-6
URL
http://saitama-sw4c-vip.net/member/640/
電話
048-456-3280
FAX
048-424-2085
メール
u-daiso@ninus.ocn.ne.jp
支援した
機関
埼玉県産業振興公社、埼玉県産業技術総合センター、埼玉大学