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田部井建設株式会社の取組事例

社員を見守り、技術を伝承する 過去を未来へ繋ぐためのDX

田部井建設株式会社

業種

  • 建設業
  • 不動産業
  • 土木業

取り組みテーマ

  • 情報化戦略

活用した支援

  • IT導入補助金活用
 土木、建築、不動産業

Before/取組み前の課題

・出張申請、請求書・領収書、出勤簿などを紙で管理しているため、稟議や精算、集計に時間がかかる
・現場作業にかかることができる人員が減少している
・社員の作業負担が多く、かつ勤怠管理が行き届かず超過勤務が起こる

After/取組みによる効果

・経費精算システム導入でペーパーレス化。申請書への記入や押印、提出にかかる時間を大きく短縮
・最新機器の導入で作業に必要な人員と日数を削減
・勤怠管理システム導入で社員の勤怠状況を一元管理。長時間労働を削減し、離職率低下と生産性向上に繋げた。

【課題】 長時間労働の削減を主軸に、事業・総務の両面でDXを推進

田部井建設株式会社は、1882年(明治15年)に河川の治水工事から事業を展開し、以降140年以上に渡って関東北部を中心にインフラ整備へ携わってきた老舗企業だ。人々の生活基盤を造る土木工事には、高い安全性と品質が求められる。その要求に最高水準で応えて力量を発揮し、地域の快適な環境づくりに貢献し続けてきた同社は、実績を踏まえて「地域創造企業」を称している。
また、近年は積極的に社内の労働環境改善に取り組み、建設業労働安全衛生マネジメントシステム「コスモス」認定を受けるなど、企業の健全性を高める活動を行っている。
こうした施策は埼玉県からも評価され、2021年埼玉県SDGsパートナー登録、「多様な働き方実践企業」プラチナ認定、令和4年度「埼玉労働局ベストプラクティス企業」に選ばれるなど、対外的な評価に繋がった。
代表取締役の田部井氏は、取り組みを始めた背景について「全ての基本である“人”を大事にする」という会社理念を前置きし、「お客様や施工した施設の利用者だけでなく、社員も大事にするために、まずは長時間労働を削減する必要があった」と語る。
田部井氏「社会情勢が目まぐるしく変化している現状において、建設業界でも技術革新や次世代の担い手育成など、多くのニーズに対応する必要が出てきています。ベテランオペレータ ーが少なくなる中で、人手不足をカバーしながら社員の負担を減らし、効率的に業務を進められるようにするためには、最新設備やシステム導入に資金を投じてDXに取り組むする必要がありました」 。
課題を精査していくと、事業と総務の両面にDX推進のポイントが浮かび上がった。

令和3 年 荒川左岸秋ヶ瀬SY 土砂改良工事

学校法人聖天山学園 妻沼幼稚園園舎改築工事

 

 

【導入と効果】最新機器とシステム導入で人員の負担を大幅に削減

建設現場のDXへの取り組みは10年以上前から段階的に進行していた。効率化や高度化によって生産性向上に寄与する情報通信技術を「建設ICT」と総称する。国土交通省が利用を推進する、受発注者間の工事情報共有システム(ASP)は、現在ほとんどの大型案件で利用されている。電波通信環境が発達したことで、24時間体制で工事現場を仔細に確認できる遠隔操作カメラも導入が進んだ。一連の建設生産システム下で発生していた人や物の移動が大幅に省略され、人的コスト削減に繋がっている。 同社では、建設ICTのひとつとして3Dレーザースキャナーによる三次元測量を導入した。高度な測量作業を内製化でき、作業量軽減とともに、従来より安全性も高まる。
土木事業部工事課長の今村氏は「丁張(ちょうはり ※工事の着手前に建物の正確な位置を出す作業)にかかる時間が2割ほど軽減され、技術者の経験値に頼らず高品質な施工管理が可能になりました」と語る。
総務分野でのDX推進は、2021年から2年がかりで改革を行った。総務部次長の川島氏は「目の前の課題としてペーパーレス化に着目しました。会議資料や請求書の電子化を実行しながら、セミナーに参加したり、WEBでリサーチを進めて信頼できるサービスを慎重に検討し、段階的に勤怠管理と経費精算をシステム化しました」と概要を示した。
川島氏「システム化によって、総務では手書き申請書の入力作業がなくなり、二人がかりで二日間かかった勤怠管理が一人で一日あれば済むようになりました。管理職が社員の勤怠状況をリアルタイムに把握でき、残業超過のお知らせや有給の取得促進が自動化できました。経費申請では申請から承認までの時間が大幅に短縮し、計算ミスもなくなりました」

3D レーザースキャナーによる3 次元測量

スマートデバイスを使って遠隔での工事進捗確認

届出集計処理時間の削減。コピー用紙削減に

【展望】効率化による生産性向上で「人を育てる」余裕を生み出す

DX推進を含めた長時間労働削減の取り組みの結果、2020年に18.3時間だった月平均残時間は1年で13.0時間に削減された。2021年の厚生労働省「雇用動向調査」、「新規学卒就職者の離職状況」によれば、建設業全体の平均離職率は9.3%、3年以内離職率は大卒28.0%、高卒42.7%である。対して、同社の過去5年間の平均離職率は0.9%、大卒11.1%、高卒は0%に止まる。
また、常務執行役員の丸橋氏は、採用の動向は「教育」にポイントがあると見出している。
丸橋氏「近年の採用現場では、学生、キャリアともに『成長できる環境』が問われます。福利厚生や待遇面以上に、研修制度や、部署横断プロジェクトの解説に質問が集まるようになりました。職人も、先輩の背中を見て学ぶのではなく、合理的に育てる時代です」
大量の情報を整理して保存し、参照や共有を容易にするのはDXの本領だ。社員教育や技術の伝承をDXで有利に進めるとともに、業務の属人化解消を図る。さらに田部井氏は「効率化によって、部署や上下関係に関わらず、あらゆる社員間のコミュニケーションを活性化させる余裕を生み出した」と語る。
「140年続いた当社の残すべき“昔気質”は、社員を大切に育て、長く人生に寄り添う姿勢だと考えています。しっかりと聞き、考えを言葉にできる力が信頼関係の構築に繋がります。そうした教育に時間をかけるためにも、DXを推進していきたいと思います」

定期的に行われるグループ研修・プレゼンテーション

企業名   田部井建設株式会社
所在地   埼玉県熊谷市上根102
事業概要  土木、建築、不動産業
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